■日 時:2023年2月23日(木・祝)14:00~16:10
■場 所:オンライン(参加登録が必要です)
■報告者:丸山友美(福山大学)
■討論者:河崎吉紀(同志社大学)、村上聖一(NHK放送文化研究所)
■司 会:浜田幸絵(島根大学)
■企画趣旨:
英語圏では、テレビや映画の制作現場を、参与観察やインタビューといった方法をも駆使しながら研究する試みが比較的活発である。これらは、メディア産業の送り手組織に関する研究であり、「プロダクション・スタディーズ」などと呼ばれている。本研究会では、こうした研究動向を参照したとき、どういったメディア研究・メディア史研究を展開していくことが可能なのかを、皆で考える機会としたい。
メディア制作当事者が自らの労働をどのように語り、その語りがメディア成果物(プロダクツ)にいかに反映されているのかを見ていく「プロダクション・スタディーズ」の分析枠組みを用いて、初期テレビ放送の制作現場を対象とした研究を行っているのが丸山友美会員である。メディア史研究におけるオーラルヒストリーの活用についてはその方途や理論的枠組みの設計の必要が議論されてきたが、丸山会員は、初期テレビドキュメンタリーの制作現場にいた人々やその関係者を対象に聞き取り調査を精力的に行い、そこで集めた声や内部資料から放送番組を再評価し、博士論文「放送アーカイブを活用した初期テレビドキュメンタリー研究:NHK『日本の素顔』(1957‐1964を中心に)」や『メディア研究』101号掲載論文「女性ディレクターから見た初期テレビ制作の現場:フェミニスト・エスノグラフィーを用いたアーカイブ研究」に反映させてきた。丸山会員には「プロダクション・スタディーズ」を用いたテレビ研究の可能性を提示いただくとともに、公的な文書資料や放送局史には残りにくい放送の制作現場のあり様をいかに描き出そうとしてきたかについて報告いただく。
討論者には河崎吉紀会員と村上聖一会員をむかえ、比較の視点(新聞と放送、日本と英国など)も入れながら、送り手組織の歴史研究を行う際の問題点はなにか、放送史研究に特徴的な課題はなにか、メディア組織の資料の公開状況が現在どのようになっているか、制度と組織内で働いている人々との関係性どのように捉えればよいのか、などを議論したい。また、オーラルヒストリーやライフヒストリーをメディア史研究にどのように取り入れていくことができるかを検討するにあたって、「ヒトを対象とした研究の倫理審査」などの各大学での事前手続きの現状がどうなっているかも、情報交換したい。
■参加登録:
参加を希望される方は、下記のURLより事前登録をお願いします。
https://us06web.zoom.us/meeting/register/tZMvdOqrqzMqE9Ho4NNl8Qu5xtRP5lE9dW9f