■日 時:2023年2月19日(日)14:00~16:00
■方 法:Zoomによるオンライン開催
■報告者:宮下十有(椙山女学園大学)、木島由晶(桃山学院大学)
■討論者:南出和余(神戸女学院大学)、長﨑励朗(桃山学院大学)
■司 会:高井昌吏(東洋大学)
■ 企画趣旨:
現在、学生も含めほとんどの人々がスマートフォンを所持しており、いつでも手軽に動画の撮影、写真の加工などが可能である。SNSなどを通して情報を拡散させることも容易であり、いわばだれもがすぐ映像の「作り手」あるいは「送り手」になれる社会である。
このような状況もあってか、今日の大学教育では、社会学部やメディア系、情報系などの学部・学科で、メディア制作に関する実習がカリキュラムに組み入れられることが多い。これらの教育を担当しているのは、メディアの制作現場(映像制作会社、テレビ局など)における経験豊富な実務家教員であるケースもあれば、本来は制作のプロではない大学教員(研究者)という場合もある。後者の場合、研究活動でメディアを取り扱っているが、その学問的バックグラウンドはさまざまである(情報学、社会学、人類学など)。大学で教員として働いているうちに、メディア制作の実習を受け持つことになった教員もいるだろう。まずは、現状でメディア制作にかかわる教員がきわめて多様であるという事実は押さえていかなければならない。
また、メディア制作の対象になるメディアも、映像、雑誌、ネット上のHPなどさまざまである。上記に挙げた教育担当者の中にも、もちろんそれぞれ制作実習のなかで、指導が可能なこともあれば、不可能なこともある。だが、このようなメディア教育にかかわる諸問題については、これまで十分に議論されてきたとはいいがたい。
本研究会では、実際に大学教育の中で行われている映像制作および雑誌制作の具体的なプロセス、教育方法、あるいは目的などを比較しつつ、メディア制作実習が果たす役割やその可能性を考える。これまで、情報に関するメディア教育と言えば、「メディアリテラシー」と呼ばれるものが中心であり、情報の「受け手」(消費者)という立場を想定したものだった。しかしながら、すでに冒頭で述べたように、これほどスマートフォンなどが普及した社会においては、「受け手のメディアリテラシー」と同様に、「送り手のメディアリテラシー」というものも問われなければならない。厳密に表現するならば、メディア教育を受ける学生は情報の「送り手」であるとともに「受け手」でもあり、その両義的な立場を想定したうえで、教員の側も制作実習などを行わなければならないのだ。
ワークショップでは、まずご自身が実際にメディア制作を担当されている発表者2名に報告いただき、映像制作実習(宮下十有氏)および雑誌制作実習(木島由晶氏)について、その内容を具体的に紹介していただく。そのうえで、制作実習の教育が持っているメリットやデメリット、あるいは課題などについてみていく。さらに、映像人類学の分野でご研究され、ご自身も映像制作実習を担当している南出和余氏、およびメディア史を専門にしている長﨑励朗会員よりコメントをいただく。
いずれにしても、メディア制作に関して、授業の到達目標の設定、調査実習との差異や共通点、研究活動との接点、研究者としての視点、制作者としての視点、受け手としての視点、学生との共同作業などを深く掘り下げたい。さらに、大学においてメディア教育を実践することを、単なるハウトゥーではなく、「学問」から問い直すという試みも、これまで希薄だったと考えられる。この点についても議論を深める。
これらの複合的な論点を踏まえたうえで、メディア教育に関して幅広く議論することを目的としたい。もちろん、参加者にもご自身の意見や教育体験など、積極的に発言していただきたいと考えている。
■キーワード:
「映像制作」、「雑誌制作」、「共に作る・学ぶ」、「研究者視点」「制作者視点」
■申込方法:
参加をご希望の方は、事前に以下のリンクからZoomに参加登録を行なってください。
https://zoom.us/meeting/register/tJwuceCqqTwtEtB3qYxbro0Y820Hd8x6SUA_