■日 時:2022年11月26日(土)14:00~16:00
■場 所:オンライン
■報告者:菊地映輝(国際大学GLOCOM)、立石祥子(中部大学)、山内萌(慶應義塾大学大学院)
■討論者:加藤裕康(関東学院大学)
■司 会:山森宙史(共立女子大学)
■企画趣旨:
本研究会は、近年の若年層のメディア利用に見られる「つながり」「かかわり」の多様な実践や工夫に注目することを通じて、いま「若者」とメディア文化の関係を論じる上での新たな方向性や可能性を検討するものである。
これまでの社会学的なメディア文化研究は、各時代の新たなメディア文化にフォーカスする際、その主なオーディエンスを「若者」として設定し、彼らの性格傾向や特性を描き出そうとする「若者論」としての側面をも有してきた。しかし他方で、そこではしばしば若者当事者の実態から乖離したステレオタイプな「若者」像も生み出され、時に若者バッシングに援用される危険性も孕んできた。このような年長世代から一方的に決めつけられる「若者」像へ抵抗するかのように、2000年代以降、若者当事者自身が「若者とはなにか」という問いを掲げ、より実証的な若者に関する調査や若者問題の解決に向けた議論を展開していくようになる。地縁血縁に基づくようなコミュニティや自己のあり方を想定した議論は、若者の人間関係の希薄さを強調しがちであったが、確固とした人間関係の基盤が喪失した社会においては、「承認」や「生きづらさ」、「社会的孤立」といったテーマがより前面にクローズアップされるようになる一方で、「趣味」や「メディア」を自在に乗り換え、人間関係を形成する若者の姿を「希薄さ」とは異なる尺度で描き出すようになる。その傾向は近年のインターネット文化を対象とした研究をはじめ、メディア文化研究においても色濃く表れるようになっている。
こうした若者とメディアの関係をめぐる実証的な研究の進展は、従来のステレオタイプな若者像を相対化し、若者当事者が抱える問題に対し多元的なアプローチの可能性を提起しているのは確かである。だが一方で、現在のメディア文化研究では「若者とメディア」にフォーカスした研究は一昔前よりも見る機会が減っているように思う。もちろん、若者とメディアの関係が全く論じられなくなっているというわけでなく、依然として若者のメディア利用やそれと関連した文化的現象は度々議論にはのぼるものの、アプリオリにメディアと若者文化との一体性を念頭に置くことは困難になっている。その結果、現在のメディア環境に即して「若者」を議論する枠組みが十分にアップデートされているとは言い難いのではないだろうか。また、実際にメディア文化から「若者」へアプローチする際にも、既存の若者研究・若者論の問題設定や研究枠組みに強く引き寄せられてしまうがゆえに、アクチュアルな若者とメディア文化の関係が見落とされてしまってはいないだろうか。
以上の問題提起のもと、本研究会では、これまで若者論において度々議論されてきた、メディアを通じた若者の「つながり」や「かかわり」の多元的な在り方や可能性について、近年若者を中心に話題となっている「YouTuber」、「自撮り」、「パブリックビューイング」の3つの研究事例を交えながら見ていく。その上で、いまメディア文化を研究することを通じて「若者」を問うとはいかなることかフロアを交えて議論をしたい。
■申し込み方法:
参加を希望される方は下記URLから事前登録をお願いいたします。
https://us06web.zoom.us/meeting/register/tZYkcu-prTguGNR7PEML_hJcH-qM6El4-3ji