第8回内川芳美記念マス・コミュニケーション学会賞 近藤和都著『映画館と観客のメディア論 戦前期日本の「映画を読む/書く』という経験』(青弓社、2020年)が受賞

第8回(2021年度)内川芳美記念マス・コミュニケーション学会賞に、近藤和都著『映画館と観客のメディア論:戦前期日本の「映画を読む/書く」という経験』(青弓社、2020年)が選ばれました。近藤さんは、2021年度春季大会総会(オンライン開催)にて、吉見俊哉会長より表彰されました。

隔年で選ばれる本賞は、各期の内川芳美基金運営委員会が発足した直近2年間の間に刊行された、メディア、ジャーナリズム、およびコミュニケーション研究に大きく寄与した著作に授与されます。第8回は2019 年 1 月 1 日から 2020 年 12 月 31 日までに刊行された、出版時に50歳台以下の正会員による新刊の著作120の候補対象作品の中から、選考委員6名全員の一致で選ばれました。

選考委員長の佐藤卓己元学会会長は、本作が映画館プログラムという、従来は研究対象としては取り上げられることがなかったメディアの分析を通じて映画文化経験とは何かを明らかにし、映画研究に新たな展望を開いたとし、「映画館と観客のメディア論的研究として刺激的で、新しく優れた研究として高く評価できる」と講評しました。

選考プロセス、および受賞作に対する選考委員会の詳しい講評はこちらからご覧ください。

近藤さんは「過去に受賞された先生方は、受賞後も第一線でご活躍されている方ばかり。私もこれからもこの賞にふさわしいと思われるように研究を続けていきたい」と受賞の喜びを語りました。

内川賞は、日本マス・コミュニケーション学会の理事・会長を務められた故内川芳美名誉会員(東京大学名誉教授)の寄贈を原資とする「内川芳美基金」の事業のひとつです。

なお、第8期内川芳美基金運営委員会では、同賞の対象者、および対象作品などを明確にするための検討を重ね、選考委員の明記と講評の公開を含めて新たにルールを定め、理事会の議を経てウェブサイト上に公開をしました。過去の受賞者・受賞作品一覧とあわせてご覧ください。